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2022年 コロナ禍における新年のあいさつ

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。ブックルックチームが10歳になって迎えたお正月、心新たに今年1年も精一杯頑張ります。

今年も明けても暮れても新型コロナウイルスの話題は外せないでしょう。

新型コロナウイルス感染予防のための行動制限は丸2年が経過しました。昨年末から変異株の1種であるオミクロン株感染拡大懸念の中、今年も制限継続で始まりました。
「いったいいつまで続くのか」と不安や不満を持つ方々も多いかと思います。

厚生労働省の発表によると、2021年末までの陽性者数は約175万人です。これは日本に在住する外国籍の方も含めた人口の1.4%未満です。
100人の知り合いがいれば、2年間で1か2人が感染した計算になります。多くが行動制限をする中での出来事です。
これが多いとみるか、少ないとみるかは意見が分かれるでしょう。

私は感染者数の増減よりも、行動制限による長期的な弊害と、それを踏まえた対策に関心があります。
長期的な弊害とは、経済格差、教育不足、情報偏向です。

経済格差

日本でも貧富の差が大きく広がり始めました。仕事と収入が減り、さらに物価上昇が追い打ちをかけます。
行動制限により、飲食、旅行、イベント、レジャーなどサービス業を中心に職の安定はまだ見通せていません。
一方で、2020年の投資抑制と、その後の需要急拡大により生産が追いつかずあらゆる物の物価が上昇しています。
エネルギー、農産物、輸送、半導体などの価格上昇は、2次製品にも波及しています。特にガソリンや軽油、食品など生活必需品の値上げは低所得者ほど大きな影響となります。
所得の低下は、教育機会の損失、治安の悪化につながりかねません。

教育不足

学校に行く回数が少ないことで、教育を受ける者へのインプット量も少なくなっています。
インプットされるものは、机に座って受ける授業だけではありません。文化祭、体育祭、修学旅行などの課外活動そのものだけでなく、それらを企画したり、クラスで力を合わせて取り組む経験もあります。

コロナ禍で入学した1、2年生は友達を作ることもままならなく、人間関係の中で得る良いことだけでなく、トラブルも含めた経験も大きく不足しています。

幼児の社会性の発達にも影響があるのではないでしょうか。関わる大人のほとんどはマスクをしており、表情理解ができないまたは正しくできていない可能性があります。
表情理解から他者を思いやったり、好ましい行動と好ましくない行動を学習していきますが、それらの発達が遅れる可能性が考えられます。
また表情理解は表情表出につながりますから、感情を表すことにも影響します。
そうなると、コロナ禍世代の集団は、表情理解・表出の未熟な集団であり、ミスコミュニケーションによる問題が発生することが多くなるかもしれません。

情報偏向

コロナ感染防止を理由に、会う人を選べるようになりました。積極的に会いたいと思う人とは交流し、そうでない人とは交流をしなくてもよくなりました。
そのため、得られる情報が偏る傾向があります。
さらに、家にいる時間が増えたことで、見る人それぞれに都合の良い情報だけが表示されるSNSを使う時間が増え、さらに情報偏向に拍車をかけます。
Qアノンがその特徴的な現象です。陰謀論まで持つことはなくとも、偏った情報から間違った判断をするようになります。

上記の3つ以外にも、メンタルヘルスへの影響も非常に心配です。命を失うことは、大切な存在の喪失感をいつまでも持つことになり、社会にとっても永遠の損失となります。

ここで終わると新年から先の暗い話になってしまいますが、私が話したいことは、そういったリスクを各自が評価し、しっかり管理することが明るい未来につながるということです。

経済格差については、個々人では解決できそうもないように思えるでしょう。いや、解決できないかもしれません。
それでも、私は私ができることがあるのではないかと考えます。政治家や官僚たちの国レベルでの対策についての議論、それ自体は必要でしょうが、それだけに頼るのでは足りません。
例えば私は数名分の仕事を創り出すことならできます。1人1人の活動が微々たるものにも至らなくとも、塵を積み上げていくことが大きな流れを作ることになると信じます。

教育不足については、私も頭が痛いです。特に学校については、大胆かつ慎重に行動することが望ましいと思います。
先生方は自らの意義を再確認し、現在の周囲の人たちの理解を得て、将来の不安を払拭し期待を膨らまして欲しいです。

新型コロナウイルス 東京都市区町村別感染者数

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新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、外国を助けられるほど余裕のあるベトナムがとった施策とは

ベトナム政府は日本、イタリア、フランス、ドイツ、ロシア、ラオス、カンボジア等に医療用マスクや医療物資の寄贈を行いました。
日本含め、寄贈していただいた各国は自国のことで精一杯ですが、ベトナムは余裕があるとのことです。
米ジョンズ・ホプキンズ大学が公開しているデータによると4月21日現在、ベトナムにおける新型コロナ感染者は268人、死者0人です。
一方、日本の感染者数は1万人に達しようとしています。
ベトナムの人口は日本より2割少ないですから、その分差し引いても30倍も優秀という結果を出しています。

そういえば、ベトナムに出張で行ったときに、ベトナムの方がベトナムの平均年齢は非常に若いということを話していたことを思い出しました。ベトナム戦争の被害の甚大さを物語っています。
新型コロナウイルスは高齢者の方が症状が悪化しやすいということなので、もしかしたらこの余裕は平均年齢からくるのだろうかと思い調べてみました。
経済産業省のレポートによると2018年のベトナムの65歳以上の人は全体の7.3%です。日本は28.%で4倍多いですが、30倍の差がつくほどの理由にはなりません。

他の理由を探してみましたら、ベトナムでは日本よりもずっと早く、強く、具体的な施策を行っていました。

日本より10日間以上早く、強い入国制限

2020年2月3日、過去14日以内に中国本土に滞在歴のある外国人の入国を拒否し始めました。この時ベトナム国内の新型コロナ感染者は10人です。

在ベトナム日本大使館(2020/2/6)「ベトナム国内における新型コロナウイルス関連発表(続報)

一方このころの日本はというと、2月1日から、過去14か以内に中国 湖北省に滞在歴のある外国人の入国を拒否し始めています。日本国内の新型コロナ感染者数はまだ6人です。
ベトナムと日本の対応はそれほど変わらないように見えるかもしれませんが、違いは、入国を拒否する対象の広さです。ベトナムは中国全土を対象としましたが、日本は湖北省に限定しておりなおかつ、例外的に入国できるケースもあったようです。

2020年3月21日、ベトナムに入国する全ての者に対して集団隔離を実施しました。この時ベトナム国内の新型コロナ感染者は85人。

在ベトナム日本大使館(2020/3/20)「ベトナム国内における新型コロナウイルス関連発表(入国者の隔離)

感染者数85人というのは日本では2月19日時点に相当します。

日本は累計の感染者が3千人を超えた4月3日から同様の水際対策を強化しましたが、日本に入国・帰国する者に対して自宅での14日間の待機を「お願い」するというものでした。
日本では3月24日の段階で、海外で感染した人たちが検疫をすり抜けて入国している事実を多数確認していたにも関わらず、ベトナムよりも10日間以上も遅いですし、対策も緩いものでした。特にヨーロッパからの帰国者の感染が目立ちました。

入国規制が1つめの日本とベトナムの大きな差です。

日本より1週間以上早く、具体的な緊急事態宣言

ベトナム政府は、新型コロナ感染者がおよそ200人であった4月1日から全国規模の社会隔離を実施しました。

在ベトナム日本大使館(2020/3/21)「ベトナム国内における新型コロナウイルス感染症関連発表(3月31日付首相指示第16号の概要)

なお、感染者数200人は、日本で2月下旬です。

日本政府が東京など一部の都府県に緊急事態宣言を出したのは、4月7日、感染者数が4500人に達しようという時です。
圧倒的にベトナムの方が俊敏で危機意識の高さも感じられます。

ベトナムのソーシャル ディスタンシングの指示は日本よりも具体的な内容でした。

数字でソーシャル ディスタンシングを指示

日本ではソーシャル ディスタンシングについて、「3つの密」と小さな子どもでも理解できるような言葉に収めました。

日本政府が発出した緊急事態宣言はベトナムのそれと比較して非常に曖昧で、国民1人1人、各自治体、各会社などに具体的な対応が任されました。「不要不急の外出を控える」ということの他、どの業種に休業要請を出すかに腐心してしまったように見えます。

それについて文句や不満を言うつもりはありませんが、結果を出しているベトナムの具体的な要請は参考になります。
これが2つ目の差です。

ベトナムが2020年4月1日から15日間実施した全国規模のソーシャル ディスタンシング
(1)全ての国民は自宅待機。
(2)本当に必要な場合に限って外出可とする。
(3)挨拶や会話は、2メートル以上の間隔をあける。
(4)会社、学校、病院外、公共の場で3人以上集まらない。
(5)企業など組織の長は、感染症対策の実施、従業員の健康・安全の確保に責任を持つ。
(6)原則として公共交通手段による旅客運搬を停止する。

在ベトナム日本大使館(2020/3/31)「ベトナム国内における新型コロナウイルス感染症関連発表(3月31日付首相指示第16号の概要)

なおかつ、感染リスクに応じて都市を3つのグループに分類し、それぞれのグループに異なるソーシャル ディスタンシングの指示を出しています。

在ベトナム日本大使館(2020/4/15)「ベトナム国内における新型コロナウイルス関連発表(社会隔離措置の継続)

最後に

早め早めの完全を目指した対応、危機に直面した時の感性の高さ、決断の俊敏性、具体的な指示、責任の所在の明確化、これらが後にベトナムに余裕を持たせていることがわかりました。
しかもそれらは新型コロナ対策に限らないでしょう。企業においても同様のことが言えます。危機に直面したときにどう対応するかが、生き死にを分けるのは言うまでもないでしょう。

出典

在ベトナム日本大使館(2020/4/17)「ベトナム政府による医療用マスク等寄贈式

米ジョンズ・ホプキンズ大学「Coronavirus COVID-19 Global Cases by the Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University

外務省「ベトナム社会主義共和国(Socialist Republic of Viet Nam)基礎データ

経済産業省(2020/3)「医療国際展開カントリーレポート 新興国等のヘルスケア市場環境に関する基本情報 ベトナム編

総務省統計局(2020/4/20)「人口推計

NHK「特設サイト 新型コロナウイルス

ついに?「今日熱があるので会社を休ませてください」 どうする?「先日会った友人が熱が下がらない、と言っています。」

ブックルックチームの新型コロナウイルス感染が疑われる場合の対応策のご紹介です。

「熱があるので会社を休ませてください」

先週の月曜日、会社に行くと「熱があるので会社を休ませてください」と書かれたメールが届いていました。
新型コロナウイルスの蔓延が危惧されるこの時、こんなメールを受け取ったら誰もが動揺するでしょう。しかも、同じチームのメンバーによると前の日に咳を多くしていたとのこと。
その同じ日に別のメンバーも発熱の症状があるので休むと連絡がありました。
誰もが「大丈夫か!?」と戦慄が走りました。

簡単には新型コロナ判定のPCR検査をしてもらえない現実があるため、陰性であることを証明できません。そもそもPCR検査は陽性であることがわかっても、陰性を証明するには不十分だとか。
どうしても出社しなければならないメンバーの場合、体調が回復したとしても、どうするか、リスクをとって自分達で判断しなければならないのです。

風邪の症状がある場合の対応

体調不良が認められた場合、その改善後も一定期間の休養期間を設け、社内担当者の承認を得てから出社できる、という運用を行うようにしました。

体調不良なら休養をとる、無理しない

発熱などの風邪の症状に限らず、体調不良が認められる場合は会社を休んでいただきます。
症状だけでは新型コロナウイルス感染の可能性有無を医療の素人である私たちが判断できないためです。

体調が回復したからといってすぐに出社しない

その後、体調不良が改善されても、改善した翌日から5日間継続して休んでいただきます。
これは次のような事例が報告されているためで、慎重に判断すべきと考えるためです。
・新型コロナウイルス感染の疑いはないと医者から診断され、よって感染有無の検査が行われず、治ったと思っていたら数日後に具合が悪くなって検査したら感染していた。
・熱が出たが翌日には下がり、味覚嗅覚障害もなかった。しかし5日後に再度発熱し、検査したら新型コロナウイルスに感染していた。

出社の可否は自分で判断しない

出社には会社(管理部)の承認が必要です。
休養期間が経過した翌日、電話またはメールにて担当者に体調について報告していただきます。
担当者は、体温や体調を確認します。
また、咳、鼻水、鼻づまり、のどの痛みや違和感、たん、倦怠感、頭痛、めまい、下痢、胸の痛みがないかを確認します。

出社の承認が得られたら、翌日から出社できます。

「先日会った友人が熱が下がらない、と言っています」

社内でこんな話を聞いたら、思わず一歩後ろに下がってしまいます。
もしかしたら今目の前にいるメンバーが新型コロナウイルスに感染しているかもしれないのですから。
「告白」してくれたメンバーには別室に移動してもらい、チャットで状況を確認しなければなりません。

3密の有無を確認

感染しているかどうかは判断ができないので、感染リスクの高い行動を避けたかどうかを確認します。
「3密に当てはまりますか」という質問の回答には個人差があるでしょうから、客観的に判断できることを訪ねます。「会った」というのがすれ違って挨拶をした程度なのか、食事を共にして数時間一緒にいたのかによって判断が変わります。

経過日数を確認

会ってから何日してから発熱したのか、と会ってから何日経ったかを確認します。
会った直後に発熱した場合、感染の可能性が高い方に針は触れます。反対に最後に会ってから2週間経過している場合は感染の可能性は極めて低いでしょう。

感染可能性の判定

感染の可能性と、会社としてどの程度のリスクをとるのかを判定するしかありません。
最大限リスクを避けるのであれば、3密に抵触する可能性があると言えるならば、最後に会ってから2週間経過するまで自宅待機を命じなければなりません。
2週間とは、感染してから発症するまでの最長といわれている期間です。

ただ、これは非常に難しい判断です。
感染するような行動を一切とっていないのに感染するケースもあるようです。だからといってすべてを疑い出したら、、、
本人と十分な話し合いを持つ必要もあるでしょう。

絶対にあってはならないのは、社内に感染者が入ってきて感染が広まってしまうことです。たとえ判断を間違え、感染者が入ってくる事態になっても感染しないような二重、三重の対策をしておくことも必要です。

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