小山内 裕

MBA取得をめざすのに良い時期

MBAの取得をするなら独身のときにしておけば良かったかな、と思ったこともありますが、総合的に考えれば私にとって今が一番よい時期ではないかと思います。

20代はただがむしゃらに仕事上必要なITスキルを身につけることに専念しました。その時点で経営についての経験はほとんどありませんでしたから、勉強をしてもそれほど多くのコンテクストは得られなかったでしょう。

30代に入ってからまじめに英会話を学ぶことに多くの時間を使いました。最低でも毎日2時間くらいはやったと思います。そして英語でコミュニケーションがとれるようになってくると、海外での仕事にチャレンジしたい、アメリカのビジネスを見てみたいという気持ちが沸いてきました。
しかし、いきなり例えばアメリカへ行ってもすぐに就職できるわけではないし、私はマネジメントに興味がありますから、それじゃMBAを取りにアメリカかイギリスへ行こうかとも考えました。MBAと英語の勉強を両方同時にできるのではないかと思ったからです。
また、実際に経営関連の本を読むたびに、実務上のマネジメントと非常に強くリンクする経験が多くありましたので、これはもっと勉強がしたいな、と思いました。
でも私にとって家族と仕事は最優先ですから、仕事をやめて学校へ行くという選択肢はありません。学校へ行くなら働きながら、です。

今は子どもはまだ0歳ですが、今後は年を増すごとに、いっしょに遊んだり、話を聞いてあげたりする時間もより重要になってくると思います。今ならまだそんなに一緒に遊べないですから、本を読む時間が比較的たくさん取れます。

そこで、日本にも英語でMBAの講義を行うところがありますからそこも検討しました。しかし、いくつかMBAの学校を見学したり、自分でも勉強をすすめるうちに、日本語の学校の方が、自分にとってメリットがあると判断しました。
理由は2つです。
1つめは、日本語による講義、討論の方が理解が深い。
2つめは、日本の経営環境には優れたところがあるから、日本の経営についても学びたい。
ということです。

人それぞれ適した時期があると思いますが、私にとってはこの今が良い時期だと思いました。

チーム間の人事評価と処遇の公平性

ある私の部下が部署を異動したいので了承してくれ、と願い出てきた。
上司が了承すれば、本人の希望により異動先の長と面接をして、OKが出れば異動できるシステムがあるからそれを利用したいということだ。
唐突だったので、その理由を聞いてみた。「マネージャとしての仕事がしたい、今の仕事には限界を感じる」ということであった。私には理解できない。私は彼がマネージャになりたいということを知っていたので、どんどんそうなれるように仕事を任せるようにしてきていた矢先だったからだ。そこではそれ以上拉致があきそうになかったので、少し日をおいて2日後に再度話し合うこととした。

2回目の話し合いで、ようやくその真意を聞き出せた。話し合いではコーチングを心がけた。コーチングは戦略をもって行うことが必要だ。私は彼にとってベストなソリューションならば、異動することは一向に構わないし、むしろそれをサポートしたい。
しかし、彼はまだ、すぐにマネージャとしての仕事をできるレベルには達していないし、他の部署に異動したら今よりも遠回りになると考えている。状況をまだきちんと把握できていないので、ゴールは決めていなかったが、真意を聞き出すことが最優先だと考えた。何か希望要望があるはずだと思った。

時間をかけて多方面から質問を投げかた。「5年後、10年後の自分自身のビジョンはあるか」「やっていて楽しい仕事と、そうではない仕事は何か」「これからやりたい新たな仕事はあるか」「身近にこうなりたいという人がいるか、いるなら誰か」「お金、地位、仕事内容で今一番欲しいものはどれか」など。
そしてわかったことは、隣の席に座っている別のチームの同僚が昇進したのに、自分が昇進しないことに不公平を感じていたことだ。その同僚は仕事中はだいたい時間に余裕があり、技術的な勉強をよくしている。一方自分は非常に仕事が多く、勉強する時間なんて到底ない。自分の方が何倍もたくさん働いているのだからその同僚よりも先に昇進していいはずだ。なのに先を越され、こんな不公平なところではやっていけない、給料はいいから昇進したいというのだ。

私は次のような事を話した。
私はその同僚の仕事を全て見ているわけではないから、全てを知らないし、あなたが主張している通りかどうかもわからない。しかし、明確に言えることは、マネージャは自分が担当する仕事において全責任がとれる人だ。私から見てその人はそれを実践していると思う。それについて同意できるならば、今のチームを例えば半年後に全て任せられるようにサポートする。
人事評価は成果主義であるから、仕事の量や時間だけでは判断されない。
マネージャになるには働き方のパラダイムを変える必要がある。

人事評価と処遇は非常に難しい。しかもチーム間の公平感、結果に対する納得感を持たせることはもっと難しい。だが非常にありがちなことだ。よく私の上司とも話し合って、納得感を高めていきたい。

最後に、もう一度自分の幸せについてよく考え、どうしたいのか決めるように話して終了した。
私は優秀なリーダーをたくさん育成していけるなら、それは幸せなことなので、やる気のある人はどんどん育てていきたいと思う。よく納得はしていたが、また明日フォローしようと思った。

寄り道したところに原石がころがっている

寄り道したところで結構いいものを見つける講義がある。
松浦先生の講義だ。実は私は入学する半年前から松浦先生の講義に参加している。

MBAをどの大学で学んだらいいかと複数の大学で10回くらい授業の見学をしていた。
そんなある日、松浦先生の授業見学をし、終わった後、お礼を言って帰ろうとしたら「また来てもいいよ」とだけ松浦先生に言われた。その意味が良くわからず「それは次回から毎回講義に参加してもいいということですか?」と確認してみた。「そういうことだ」と返事があった。タダで参加できるなら利用しない手はないと思い、「ありがとうございます。それじゃよろしくお願いします。」とすぐに約束を取り付けた。

寄り道をしたが、寄り道の話を続けよう。
松下電器での話しだ。松下幸之助は親族の入社を認めたくなかったそうだが、奥さんと娘さんのプッシュにより認めざるを得なかったそうだ。それであとでいろいろ大変だったらしい。
また、『メディアの支配者』に書いてあるが、フジテレビグループの元議長が亡くなった後、その奥さんが経営に介入しようとこれもかなり大変だったようだ。

結構、社長や元社長の奥さんが経営に介入してくるような話は聞くな、どうしてだろう。私は松下電器の話を聞いたときそう思った。
結局は 金 だ。節税対策のために、創業者の資産や起業した会社の株を妻の名義にするケースがよくある。特に厄介なのが株だ。その創業者の死後、妻は大量の株を持っているわけだから、経営に介入することができる。しかも、創業当時から夫も自分の生活も共にして事業をしてきているのを見ているから、会社をまるで自分の持ち物のように思ってしまうのだ。いや、確かに株を持っているから所有権も認められるのだ。
ということで、口を出す権利もあるし、自分のモノだから、自分の子どもや孫のために会社を利用したくなる。保養所があれば自由に使いたくなる。でも、親族がいきなり経営陣に参加してきたりするとなると衝突は避けられないだろう。

ということで、もし、私が会社を設立したなら、節税はできなくとも妻名義の株は持たせないようにしよう、と思った。それは妻の幸せのためでもあるし、働く人々のためでもある。

コンテンツとコンテクスト (by 原田)

MBAクラス ビジネスモデル論で、原田保 『組織能力革命』 同友館、今井賢一/金子郁容 『ネットワーク組織論』 岩波書店 あたりを使って、組織能力 (Capability)についてプレゼン+討議を行いました。

今回は経営の分野では聞きなれない単語が多く、本を読むのも辛かった。。。キーワードは Synchronicity、Improvisation、Receptor、Genetic、Trigger、Leverage、CSR の7つ。

私にとってためになったのは、CSR。
CSRとは、Corporate Social Responsibility。企業の社会的責任を問う内容。CSRという言葉はちょくちょく聞きますがいまひとつ腹に落ちませんでした。でもこの講義でよく理解できました。

クラスにシャープで働いている方がいらして、シャープのCSR取り組みについてプレゼンしてくれました。シャープでは、太陽光発電の技術があるから、それをたくさん売ることで企業のCO2排出量を上回る発電量を実現することが目標だということでした。
また、CSRに反する事例としてNIKEの下請け会社が子どもを工場で働かせて利益を搾取していたことがあげられました。その会社の行動だけではなく、取引先をも含めた企業の行動が問われます。取引先をよく調査監督しないと、不買運動などのリスクが発生します。

さて、ここまではわかりました。いかに社会貢献するかということです。
でも企業って社会貢献して成り立っているものではなかったのか?という新たな疑問。問題はその裏で大量消費や略奪により成り立っているケースがある、ということです。表向きは人のため社会のためといっておきながら、裏では大量の石油を使ったり、大量の産業廃棄物を海に捨てていたり、後進国で過酷な労働を強いていてはCSRを果たしていないということですね。

まとめますと、企業が提供する製品・サービスはコンテンツ。そのコンテンツにコンテクストを乗せて世にだすことがCSR。例えば、世界Shareを1番とるということ自体がCSRを果たすことになります。