小山内 裕

コンテンツとコンテクスト (by 原田)

MBAクラス ビジネスモデル論で、原田保 『組織能力革命』 同友館、今井賢一/金子郁容 『ネットワーク組織論』 岩波書店 あたりを使って、組織能力 (Capability)についてプレゼン+討議を行いました。

今回は経営の分野では聞きなれない単語が多く、本を読むのも辛かった。。。キーワードは Synchronicity、Improvisation、Receptor、Genetic、Trigger、Leverage、CSR の7つ。

私にとってためになったのは、CSR。
CSRとは、Corporate Social Responsibility。企業の社会的責任を問う内容。CSRという言葉はちょくちょく聞きますがいまひとつ腹に落ちませんでした。でもこの講義でよく理解できました。

クラスにシャープで働いている方がいらして、シャープのCSR取り組みについてプレゼンしてくれました。シャープでは、太陽光発電の技術があるから、それをたくさん売ることで企業のCO2排出量を上回る発電量を実現することが目標だということでした。
また、CSRに反する事例としてNIKEの下請け会社が子どもを工場で働かせて利益を搾取していたことがあげられました。その会社の行動だけではなく、取引先をも含めた企業の行動が問われます。取引先をよく調査監督しないと、不買運動などのリスクが発生します。

さて、ここまではわかりました。いかに社会貢献するかということです。
でも企業って社会貢献して成り立っているものではなかったのか?という新たな疑問。問題はその裏で大量消費や略奪により成り立っているケースがある、ということです。表向きは人のため社会のためといっておきながら、裏では大量の石油を使ったり、大量の産業廃棄物を海に捨てていたり、後進国で過酷な労働を強いていてはCSRを果たしていないということですね。

まとめますと、企業が提供する製品・サービスはコンテンツ。そのコンテンツにコンテクストを乗せて世にだすことがCSR。例えば、世界Shareを1番とるということ自体がCSRを果たすことになります。

スモールワールド・ネットワーク

例えば有名人など、一度でいいから合って見たいという人はいますか?
もしいるなら会えます。しかもあなたの知り合いの紹介があれば会えます。

まず、あなたの知り合いの中で、その会いたい人にもっとも近そうな人を考えます。そしてその人に、また他のもっとも近そうな人を紹介してもらいます。そのように紹介を6回繰り返せば会えるそうです。

なんと世の中は狭いもので、これを「スモールワールド・ネットワーク」といいます。ダンカン・ワッツとスティーブン・ストロガッツという2人の数学者が1998年にネイチャー誌に発表した論文です。あなたから6人のリンケージで世界中の人に辿れるというものです。
よく、口コミの効果の大きさが話題になることがあります。
悪い評判と、すごーーーーーくいい評判は口コミで伝わりやすいですね。ちょっとでも悪いことはすぐ他の人に伝わるけれども、ちょっとくらいの良いことではなかなか伝播されません。でもすごーーーーーーく良い、気分の良い、感動する経験はバーと広がります。
ということで、これの応用としては、多くの人に満遍なく90%の満足感を与えるよりも、ほとんどの人は85%くらいの満足感で、ときどき6人くらいまで伝播するような120%満足感の経験を顧客に提供すれば、世界中の人に伝わる、といえるかもしれません。(念のため、満足感の数字に根拠はありません。。。)

あるデパートでの話です。
お客様が「新品のタイヤなのに不良品だった」ということで返金を求めたそうです。それを聞いた店員はすかさずお客様の求めに応じたそうです。お客様はお金を受け取り帰りました。
しかし、そのデパートではタイヤは販売したことはなかったそうです。

この話題は多くの本で目にします。このように衝撃的な話は多くの人に伝播するものです。

知識のいもづる

原田保『組織能力革命』同友館 を読んでいたら、「ガイア仮説」がでてきた。
ガイア仮説とは『地球は、その上で多数の生命が共進化してきた結果、1つの生命体として機能し、保持されている』というもの。つまり、地球は1つの生命体で、地球上の空気、大地、人間などはその一部として機能しているに過ぎないということだ。これはこれで非常に興味深いのだが、私は「ガイア」に反応した。

「ガイア」とは何だろう。早速調べてみた。「ギリシャ神話の大地の女神、カオスの娘。ウラノスの妻。クロノスとタイタンの母。」とのこと。さらに「ローマ神話のテルス」とある。

またさらに疑問が増えた。ギリシャ神話とローマ神話の違いは何だろう。
ギリシャ神話とは『前2000年ごろ、ヨーロッパでもっとも早く文明化した古代ギリシャ人の信仰や儀式をあらわした神話。主に神々に関する多様な物語と伝説からなっている』。
ローマ神話とは『建国伝説の時代からキリスト教を国教とみとめるころの時代まで、古代ローマ人が保持し、実践していた超自然的な事象に関するさまざまな信仰や儀式をあらわす神話。初期ローマ人固有の宗教は、のちの時代にさまざまな信仰が混入したり、ギリシャ神話の影響を受けて神々を擬人化したりしてかなり変形してしまった。ギリシャ神話と同化している』

大地の女神(ガイア)は、天地創造以前の混沌を象徴した神(カオス)から生まれた。
そして、天空の神(ウラノス)と結婚して、収穫の神(クロノス)と巨人族の神(タイタン)を産んだそうだ。

日本書記に似ているな、と思い。以前読んだ本を引っ張り出してもう一度読んでみる。
天の神(いざなぎの神)と地の神(いざなみの神)は日本を作り、岩の神、砂の神、風の神、火の神などを作った。いざなみの神は自分が作った火の神(ひのかぐつちの神)により命を落としてしまう。そしていざなぎの神から日の神(天照大神)、海の神(すさのおのみこと)が産まれる。。。

ホワイトカラーとは違うナレッジワーカー

ナレッジワーカーが注目されつつある。ナレッジワーカーはホワイトカラーとは違う。
これまでは、労働者をホワイトカラーとブルーカラーに分けていたが、さらにナレッジワーカーが加わり3タイプに分けられる。
ナレッジワーカーは日本語で知識労働者。ナレッジワーカーはただ知識を持っているだけではなく、知の編集能力を持った労働者のことだ。一方デスクワークをするだけの労働者はホワイトカラーだ。

例えば、最近のテレビや雑誌はプロデュースしているだけで、自社でコンテンツを作ることはほとんどないそうだ。コンテンツの作成はアウトソースしている。プロデュースは正に知の編集である。
自分たちは例えば「最近投資ブームだから、それを題材にした番組を作ろう。冒頭ではデイトレーダーで儲けた人と損した人を紹介して視聴者をひきつけ、それぞれ何が原因でそうなったのかインタビューした内容を放送し、中盤ではネット取引を持ち出し、最後に今後の景気予測や格差社会を展開して、皆が投資をしなければならないと思わせるようにしよう。」といった構成を考え、インタビューが必要ならそれをアウトソースしている会社に依頼し、ネット取引の実態については別のアウトソーサーに取材させ、格差社会についてはどこそこの大学教授のインタビューをこれまた別のアウトソーサーに依頼する、といった感じだ。

ナレッジワークはどの会社でも必要だ。みんなこのような経験はないだろうか。
会社で同僚が顧客と電話で話している。何か問題を抱えているようだ。後でその同僚と話をしてみると、以前自分も経験したことがある問題だった。解決策をそれぞれ出し合っていくうちにいいアイデアが生まれる。それを実戦してみたらうまくいった。そこで、その問題と解決策を他の同僚にも話してみる。するとそれは徐々に広まり皆同じように行動し、問題は問題ではなくなった。
これはナレッジワークの1例である。これはSECIモデルになるのだが、問題を感知し、話し合うことで明るみに出す。そこから実効性のあるアイデアをドキュメント化してまとめ、他の人にも広げる。
ホワイトカラーは明るみに出てドキュメント化されたものを読み正確に実行するだけだ。

ナレッジワーカーもホワイトカラーも最終的には同じ仕事をするかもしれないが、そこにいたるプロセスは大きく異なる。
会社にとって重要な人材は、価値創造ができ、代替性が低く、模倣困難性の高い人だ。マニュアルを読んで実行するだけでよければ簡単に入れ替えができる。しかし、効果あるマニュアルを作成できる人は簡単には入れ替えができない。

ナレッジワークは資本(お金)を必要とせずにお金を稼ぐのだ。
既に、ほとんどの企業の、株式の発行数x株価による価値は、その企業が所有する資産よりも多い。それは無形資産が含まれていることを意味する。
そして労働市場においても価値があるから、ホワイトカラーよりもナレッジワーカーの方が給料もよくなる。

SECIモデルについては、野中郁次郎・紺野登『知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代』ちくま新書、野中郁次郎・竹内 弘高・梅本 勝博『知識創造企業』東洋経済 がお勧めです。