チーム間の人事評価と処遇の公平性

ある私の部下が部署を異動したいので了承してくれ、と願い出てきた。
上司が了承すれば、本人の希望により異動先の長と面接をして、OKが出れば異動できるシステムがあるからそれを利用したいということだ。
唐突だったので、その理由を聞いてみた。「マネージャとしての仕事がしたい、今の仕事には限界を感じる」ということであった。私には理解できない。私は彼がマネージャになりたいということを知っていたので、どんどんそうなれるように仕事を任せるようにしてきていた矢先だったからだ。そこではそれ以上拉致があきそうになかったので、少し日をおいて2日後に再度話し合うこととした。

2回目の話し合いで、ようやくその真意を聞き出せた。話し合いではコーチングを心がけた。コーチングは戦略をもって行うことが必要だ。私は彼にとってベストなソリューションならば、異動することは一向に構わないし、むしろそれをサポートしたい。
しかし、彼はまだ、すぐにマネージャとしての仕事をできるレベルには達していないし、他の部署に異動したら今よりも遠回りになると考えている。状況をまだきちんと把握できていないので、ゴールは決めていなかったが、真意を聞き出すことが最優先だと考えた。何か希望要望があるはずだと思った。

時間をかけて多方面から質問を投げかた。「5年後、10年後の自分自身のビジョンはあるか」「やっていて楽しい仕事と、そうではない仕事は何か」「これからやりたい新たな仕事はあるか」「身近にこうなりたいという人がいるか、いるなら誰か」「お金、地位、仕事内容で今一番欲しいものはどれか」など。
そしてわかったことは、隣の席に座っている別のチームの同僚が昇進したのに、自分が昇進しないことに不公平を感じていたことだ。その同僚は仕事中はだいたい時間に余裕があり、技術的な勉強をよくしている。一方自分は非常に仕事が多く、勉強する時間なんて到底ない。自分の方が何倍もたくさん働いているのだからその同僚よりも先に昇進していいはずだ。なのに先を越され、こんな不公平なところではやっていけない、給料はいいから昇進したいというのだ。

私は次のような事を話した。
私はその同僚の仕事を全て見ているわけではないから、全てを知らないし、あなたが主張している通りかどうかもわからない。しかし、明確に言えることは、マネージャは自分が担当する仕事において全責任がとれる人だ。私から見てその人はそれを実践していると思う。それについて同意できるならば、今のチームを例えば半年後に全て任せられるようにサポートする。
人事評価は成果主義であるから、仕事の量や時間だけでは判断されない。
マネージャになるには働き方のパラダイムを変える必要がある。

人事評価と処遇は非常に難しい。しかもチーム間の公平感、結果に対する納得感を持たせることはもっと難しい。だが非常にありがちなことだ。よく私の上司とも話し合って、納得感を高めていきたい。

最後に、もう一度自分の幸せについてよく考え、どうしたいのか決めるように話して終了した。
私は優秀なリーダーをたくさん育成していけるなら、それは幸せなことなので、やる気のある人はどんどん育てていきたいと思う。よく納得はしていたが、また明日フォローしようと思った。