先日、「アジア太平洋への新しい視界」と題した日総研フォーラムに参加してきた。
(以下、敬称略)
今回は第7回目であり、姜尚中(東京大学大学院情報学環教授)とアーサー M. ミッチェル(ホワイト&ケース外国法律事務弁護士事務所)をパネリストとして迎え、寺島実郎がコーディネーターを努め、さらに最後に総括講演を40分ほど行った。
さて、現在のままの日本では、世界的にその存在感を失いつつあることは確かであろう。国内の問題に気をとられ、世界への貢献が疎かになっているためと言える。
今後いかにして、世界へ貢献していくべきかを真剣に考えなければならない。
このフォーラムでの結論を始めに書くと、日本役割は次の3つに集約されるという。
1) 米国をアジアから孤立させない
2) 中国を責任ある国として国際社会に招き入れる
3) 日本の経済力に見合う情報力の増強
ということである。
次に、私なりの結論としては、資源が少ないので、日本は自給自足で成り立たせることは不可能であろう。
エネルギー問題、食糧問題、少子高齢化による労働力減少が進んでいる。
つまり、他国に頼らざるを得ない状況に変わりはない。
輸入してtakeするためには輸出 giveが必要である。そして何をgiveするかが重要な問題である。
急激にアジア諸国の労働コストが上昇しているものの、まだまだ労働生産性では日本に勝ち目はない。
付加価値で勝負するしかない。付加価値とは、情報や知識である。
情報や知識のgiveを通して、アジア諸国と連結・連合していくことを通して、その存在意義を見出していくことができるだろう。
事実として、円安とドル安が同時に進んでいる。
200年から、円は対ユーロ、対オーストラリアドルと対NZドルでは半減している。
世界のリーダーを自認してきた米国も、影響力が急速に低下している。世界の諸問題に積極的に関与してきたものの、イラク戦争は世界の反発が少なくないだけではなく、4,000人を超える米軍兵士が失われ、3兆ドル(J.E. Stiglitz推計による)を超える戦費は軍需景気を誘発することなく、浪費に終わると言われている。
さらに、米国政府はサブプライム問題に対して、資金の投入をせざるを得ない。
環境問題については経済を優先させる姿勢から京都議定書から離脱し、諸外国との関係に微妙な不協和音が聞こえる。
日本はというと、極東アジアに位置しながら、アジアよりも米国を中心とした西欧との関係を深めてきた。そのため、北朝鮮や中国は日本にとってのブラインドスポットとなっている。
これまで築き上げた米国との関係を維持しつつ、アジアとの関係をより強化していくことが必要であろう。
余談だが、私の個人的な経験において、ビジネスにおける習慣はアメリカ人とはよく肌が合う。しかし、中国人とマレーシア人とはなかなか難しい場合が多かった。これはほとんど文化の違いといってもよいであろう。その違いのために苦労した経験は非常に多い。文化は変えられないから、対立した部分でお互いが歩み寄ることはまずできない。求める結果は同じであるから、違う点は目をつむってお互いがやるべきことをやるしかない。
もちろん、ごくまれであるが、同じ考え、同じやり方を持つ人もいるので、そのような人たちと一緒に仕事をするときは、物事がスムーズに進む。
中国については多くが周知の通りである。
チベット問題、毒素含有量が多いなどの製品品質問題、著作権侵害の問題、環境問題が世界の反感を高めている。
北京オリンピックがネガティブに作用している。
WTOに加盟し、中国がいかに責任を果たしていくか注目を集めているが、隣国の成熟した国がどう振舞うかも注目される。