チャールズ・エリス 敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか
人生設計をたて、資産運用をして将来に備えようという人は必読ではないだろうか。
私の10数年の経験を振り返ってみても大きな利益はだしていない。大きな損失を出したことがあるが、別の複数の銘柄でほぼプラスマイナス0になった。上下するチャートにあわせて売買を繰り返したこともあるが、結局そのチャートの最初と最後で1回売買した利益と同じで、証券会社を儲けさせただけだったこともある。
勝手ながら私なりの要約。
人生における資産運用は「勝者を目指すゲーム」ではなく、「敗者にならないゲーム」である。
マーケット平均以上のリターンを出すことは不可能であり、リスクを管理しながら長期運用することでマーケット平均を目指すことができる。
■ 「敗者のゲーム」とはミスをしないことである。誰かのミスが勝利を呼ぶ
マーケットに勝つとは、マーケットの平均以上のリターンを得ることである。
マーケットの多くの取引は機関投資家が占めている。マーケットは機関投資家そのものである。
機関投資家は投資のプロである。機関投資家は毎日刻々と変化するマーケットの情報をいち早く受け取り、投資先企業の経営者と定期的に面接し、いかにして投資のリターンを高められるか研究し、そのためのシステムに多大な投資を行っている。しかもほとんどの機関投資家がそうしている。
ネットワークが発達した現在は、ほとんどの機関投資家はほぼ同じ情報を持ち、ほぼ同じ投資行動を取っている。この勝負に勝つには別の機関投資家のミスにいち早く対応することである。
個人投資家がマーケットに勝つにはこれら機関投資家に勝たなければならない。が、先述の通り多大な時間と労力を費やしている機関投資家に勝つことは不可能である。
一時的に高いリターンを得たとしてもそれは偶然であって、30年、40年またはそれ以上の超長期間投資においては不可能である。実際に米国の運用機関はマーケット平均に負けている。
そもそも個人投資家は一時的な資金のために資産運用が必要なわけではないだろう。例えば老後の遠い未来のための資産運用であろう。
ではリターンを得るにはどうしたらよいか。
■ 超長期間で投資し、勝ちを取りに行かないこと。
つまり、マーケット平均を目指すことである。超長期間で運用すればマーケット平均になる。
超長期間で運用するには運用方針、目的、方法、期間を明確にし、それに従った投資行動を徹底することである。この点が本書において最も言いたいことであろう。
投資における最大の難関は頭を使うことではなく、感情をコントロールすることである。一時的に大きな含み益が出たり、含み損が出ても、動揺したり、買い急いだり、売り急いだりしないことでる。
ポートフォリオは上下しながらも超長期間においてだいたいマーケット平均に収束する。
■ 投資とはリスクをとりそのリスクを管理すること。
投資におけるリスクは次の3つ。
株式グループ・リスクとは、例えば特定の業種に投資する時に発生する。業種が異なっても連動し合う場合も株式グループである。銘柄またはファンドを分散することで回避可能である。
つまり、いかにマーケット・リスクを管理するかが資産運用の主要なテーマとなる。
マーケット・リスクを管理するには、投資対象マーケットを分散する、超長期で運用するなどの方法がある。
■ その他
インフレの恐ろしさと、時間がもたらす複利の効果にも触れているがここでは割愛する。でもこの2つはとても重要。