Michael Treacy, Fred Wiersema (1995) THE DISCIPLINE OF MARKET LEADERS,
(小原進訳 (1995) 『ナンバーワン企業の法則―カスタマー・インティマシーで強くなる』 日本経済新聞社)
を本棚から引っ張り出し、改めて読んでみた。
次の3つの中で、あなたのビジネスにおいて1番重要なものはどれか?
・低価格商品の提供
・高性能商品の提供
・顧客との関係構築
この問いに「全部」と答えた人は成功が遠い、という。
プロローグで「本書は、走るべきそのレースをどう選ぶかを論ずるものである」と言っている。
さらに、「いかなる企業も、すべての人にすべてのことを与えようとしては成功できない」とも言っている。
そして、「成功するにはその企業だけがある選ばれたマーケットに提供できる独特の価値を発見しなくてはならない」と。
【重要な3つのコンセプト】
第1:価値理念の提示
価格、品質、効率、選択、便宜性など
第2:(価値理念を起動力とする)オペレーティング・モデル
経営システム、ビジネス構成、企業文化など
第3:(価値理念とオペレーティング・モデルを組み合わせて市場での最善にする)価値基準
価値基準は次の3つ。
オペレーショナル・エクセレンス
プロダクト・イノベーション
カスタマー・インティマシー
(オペレーショナル・エクセレンス)
平均的な製品を最良の価格で、効率的に提供する。
コモディティを最安値で提供できる仕組みを持った企業といえる。
(プロダクト・イノベーション)
革新的な他にはない商品を提供し続ける。
製品の性能での競争である。
(カスタマー・インティマシー)
顧客との親密性を徹底的に追求する。
カスタマー・リレーションシップを重視することである。
【価値基準の選択】
3つの価値基準全てを身につけようとすべきではないし、1つを選択して残りの2つを放棄することでもない。
価値基準の選択をするには、自分の顧客が最も気にかけていることを知らないといけない。
だが、一般的に顧客に何を求めているか聞けば、値段は安く、革新的な商品を、顧客との接点を多くして欲しいというだろう。
つまり、全てを望んでいるわけである。
この顧客の声によく耳を傾け、顧客が望むとおりにする企業はずるずると坂を転げ落ちていく。
Clayton M. Christensen (1997) THE INNOVATOR’S DILEMMA,
(伊豆原弓訳 (2000) 『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』 )
でも見られるように。
これらの例は、成功の大小に関わらず、多くの企業(経営者)に見られる。
「どれが一番大事か。さらなる成功のためには何を優先的に為すべきか」という質問に、「全部大事だ」と答える。
「では、何から最初に手をつけるか」と聞くと、1つ選ぶが、しばらくすると忙しさや、売上低迷の恐怖から、全てに満遍なく手を付けている。
今日のマーケットリーダー企業は、自らが強調しようと選んだ価値の1要素で顧客の期待感を高めている。