2008年 12月 の投稿一覧

サービスドミナントロジックとポスト資本主義(4/4)

資本主義とポスト資本主義をあえて比較するとすれば、

・競争 と 共創
・一方行 と 双方向
・占有 と 共有

といったことが言えそうである。
もちろん、企業間の競争を否定するものではない。自然界を見れば、古代からあるわけで、それがエコシステムであるのだから、これからもなくならないし、必要である。
重心の置き方が要であろう。

ここで1つ取り上げたいのが、「占有と共有」である。
資本主義では優れたビジネスモデルを持つ企業は、独占的に多くの顧客を囲い込み、莫大な利益を上げることができる。
ポスト資本主義を考えると、ここに大きなヒントがある。
もう少し言うと、ライバルと顧客や利益さえも共有することである。

具体的な事例は今後どんどん出てくるだろう。
サービスドミナントロジックにポスト資本主義の姿が見え隠れしているのは確かなようだ。

(終わり)

サービスドミナントロジックとポスト資本主義(3/4)

サービスドミナントロジックの主要概念は「価値共創」である。
とても重要なポイントである。

これまでもコラボレーションというものがあるが、それはどちらかというと供給者同士の価値共創である。
サービスドミナントロジックにおいては、顧客と企業の共創である。よって、生産者と消費者の関係は主体と客体ではなく、主体と主体となる。よって、双方共にコミュニケーションを図ることになる。

もう少し言い換えると、価値共創においては、生産者はいかに消費者にモノを売るかということは考える必要はなくなり、いかに価値共創するか、に主眼が置かれることになろう。反対に消費者は、いかに価値を与え価値を得るかを考えるようになり、購入時に騙されないように気をつける、などという必要はない。消費者の行動次第で受け取れる利得を増減できるからだ。
そう考えると、企業側はこれまで自らがコントロールしていたマーケティングの4Pの一部を、利用者に与えるような形になる。4Pとは、Product、Price、Place、Promortionである。

価値共創を進めると、製品(Product)は利用者によって作られ、その価値(Price)も利用者が決める。宣伝(Promortion)なども利用者が行うことになる。これは企業が受け取るリスクを低減することになるかもしれない。
なお、ここでいうリスクとは単なる危険、危機、損失というものではなく、「ブレ」のことである。つまり、予想を超えて損失を出したり、利益を受け取ることをリスクという。

また、生産と消費の関係は継続的で、お互いが主体で、コミュニケーションが双方向ということになると、どちらが供給でどちらが需要か不明確にならないだろうか。

私はそこにポスト資本主義を見出したような気がする。

サービスドミナントロジックとポスト資本主義(2/4)

現在の資本主義は「競争」の上に成立しているといえないだろうか。
行き過ぎた競争は、勝者がマーケットのパイを全部奪う、いわば「winner takes all」を目指そうとする。
利用者や消費者の利得、マーケットのイノベーションを期待するならば、独占は必ずしも適切ではない。

マイクロソフトはクライアントOSの市場ではほぼ独占している。それは、ユーザーにとって大きなメリットでもあった。OSが同じということは、パソコンを買い換えるたびに、毎回使い方を覚える必要がない。友人に教えることもできる。
だが、行き過ぎた場面ではデメリットが大き過ぎる。
マイクロソフトの行き過ぎた場面は何であろうか、ユーザーのメリットを無視し、エゴに走ってしまった側面があるように思える。象徴的なのは、新しいOSであるVistaとOffice 2007にみられるようにユーザーインターフェースをガラッと変えてしまったことである。

多くの人が使用しているメリットはファイルの互換性よりも、使い勝手にあると私は思う。
互換性はコンバーターが司ることができるが、使い勝手はそうはいかない。使い勝手は生産性に影響を与える。
使い慣れた人々は、どこをクリックしてよいのかもわからず、いたずらに時間を浪費し、フラストレーションを抱える。これは明らかな「コスト」である。

だからといって、マイクロソフトの全部を否定しているわけではないことを明言しておく。
ウィンドウズの良い面も引き続き有効である。例えば、サーバーではリナックスの技術者よりもウィンドウズの技術者の方が多い。よって、人材を探しやすいし、報酬も高くはない。ウィンドウズで動作するアプリケーションも多く、かなりこなれている。それらの過去の資産をすべて無為にしてしまうのはもったいなさ過ぎるくらいである。
私は個人的には中小企業ほどウィンドウズをお勧めする。万が一、IT技術者が退職してしまっても、だれかが何とかできる可能性が非常に高い。

さて、なかなかサービスドミナントロジックの話にならないな、と思われるかもしれないので、ちょっと次回の分をお話しすると、主要概念である「価値の共創」に重大なヒントを見出す。

サービスドミナントロジックとポスト資本主義(1/4)

1989年、ベルリンの壁の崩壊とともに社会主義が転換期を迎えた。
それからほぼ20年を経た今、資本主義も大きな転換点に立ったといえないだろうか。

東西対立が示したように、社会主義の成立は資本主義の存在が前提である側面がある。
資本主義と対比することでその長所を強調できた。しかし、知識や情報が自由に国境を越える今、社会主義のほころびの方が目に付くようになってきた。
一方、資本主義についても同じことが言えないだろうか。
やはり、社会主義と対比することでその長所を夢に置き換えることができた。しかし、対比すべき対象がなくなり、自壊への道を歩むしかなかったのだろうか。
実は、ポスト資本主義はもう何10年も前から論じられている。
資本主義の次に来るものは何だろうか、と多くの人々が研究しているのである。

私はサービスドミナントロジックの基本論理にそのヒントがあると思う。

夢ある起業家が集まる場所(1/2)

「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」で事業計画発表会に参加してきた。
私の当初の予測を超えて、夢があり、社会性に富み、楽しいものであった。何度も心が震える場面があった。

私は今回が初めてなので、毎回どのようなものなのかを知らないが、人づてに聞くと、今回はいつもよりも随分と良かったらしい。

私が取り上げたいアイデアが2つある。
1つ目は「自然滑空グライダー」。小林和夫さんによるもの。
はっきり言ってしまえば、紙を切って折っただけのものであり、誰もがすぐに真似ができる。
しかし!それを連続100枚飛ばす様を見てつい顔がほころんでしまう。
夫婦2人がそれぞれ物干し座をのようなモノを持って、高い位置からグライダー100枚を連続して飛ばすのである。
何が顔をほころばせるのか、主観的に分析した。
1) 奥さんと協同してグライダーを飛ばしている。夫婦の仲の良さ。
「こんなの何が楽しいのよ。」などと言う非協力的な奥さんもいそうだがそうではない。
2) 手作りの感。
物干し竿のようなモノの手作り感が何ともいえない。
3) 100枚のグライダーが飛ぶ姿はだいたい予想通りの結果である。
だから、グライダーよりもそれを飛ばしている夫婦の姿に目が行ってしまう。

以上のように、グライダーではなく、それを一所懸命やっている夫婦の姿が顔をほころばせるのである。
これが非常に重要なのである。
そこに将来の自分を見るのである。こうありたいというような夫婦像。
小林さんには申し訳ないが、一見するくだらないようなことを夫婦そろって一所懸命にやれることほど幸せなことはない。実際にそれができる夫婦はどのくらいいるのであろうか。

私はその姿に感動した。妻と年を取って、人前で、しかも起業家オーディションで紙飛行機を飛ばすなんて素敵じゃないですか。

さて、私なりにビジネスの実現性を考えてみた。
1) ジャンボグライダーに挑戦!企画。
スポンサーを見つけ、河川敷で大掛かりにジャンボグライダー(5~10mのもの)を飛ばしてみる。
見るだけだが子どもも大人も楽しめるのではないだろうか。
2) 飛行距離を競う
グライダーに工夫を凝らし、いかに長距離飛行ができるかを競う。
これも、スポンサーを見つけイベントを開催する。

人生において究極の1冊

多摩大学大学院で聴講生として、橋本大也先生の授業に参加していますが、なかなか興味深いお題が出されました。

それが、「あなたの人生において究極の1冊はなにか?1行紹介してください」というもの。
1冊だけ、というのはなかなか難しい。

それぞれの場面で力になってくれた本があり、精神力の支えになってくれた本があり、今の私の意見をうまく表現してくれている本があり、みんなに紹介したい本があり。。。
いろいろ考えた末、普遍的にチャレンジ精神を持てる1冊を選びました。
普遍的にというのは、いつの世も通用する、ということです。
いつの世も、もうこれで完璧、誰にも負けない、ということはないのです。「盛者必衰」とはこのことか、という1冊です。

これは結構、スタンダードな選択でしょうね、きっと。
私はこの本を読み始めてすぐに、それまで長年の疑問が解けたと同時に、将来に対する不安が払拭されました。私が持つ方針なら、後発で小規模組織であろうと大企業を超えることができるとカクシン(確信と革新)しました。

クリステンセン 『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』

今は辞めてはいけない

どんなに頭にきても、どんなに気に入らなくても、どんなに嫌でも、やりかけの仕事を放り投げて辞めてはいけません。

仕事を途中で放り投げるというのはプロフェッショナルとして端にも棒にも引っかからない、ということがそもそもありますが、今、この時期は、想像以上に厳しい世の中です。
ご存知の通りアメリカ発の不況が叫ばれて久しいですが、過去にないくらいの厳しさを今、私は実感しています。
そして思い出します。今年の秋口くらいに、大手企業のトップたちが「こんな急激な落ち込みは前例がない」と話していたことを。

MBAを共に学んだ友人たちも同様に、とてつもない状況に驚いています。
11月中旬から「ガタッ」と音を立てて経済状況が悪化したことを肌で感じています。

お客様と接したり、経営的な数字を追っているとすぐにわかりますが、会社の中だけで働いていると、わからないものです。どんなに知識、経験、技術があろうとも、再就職できるのは、あなたと採用しようとする企業がよほど恵まれている場合だけではないでしょうか。
もし、会社員をされていて、辞めようと考えているのでしたら、今は何としても堪えてください。
そして、会社とステークホルダーの利益に貢献するよう、今すぐに気持ちを切り替えましょう。

。。。と、こんなことをここで言いましたのは、今日、社員が1人辞めました。
嵐が吹き荒れる外へ出て行きました。心配しておりますが、自分で決断したことですから、検討を祈るばかりです。