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自社の不都合が売上を伸ばせるか

これはある自動車教習所の中吊り広告です。
見てどのように思うでしょうか。
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[ベーシックプラン]
お客様自身で予約を取る基本プラン
274,665円
(技能教習・技能検定・効果測定料金は別途)
技能教習 4,725
技能検定 7,350
効果測定 仮免 2,100 / 最終 4,200
キャンセル料 1,575円
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[VIPプラン]
お客様の都合に合わせたスケジュール予約
&追加料金(技能教習・技能検定・効果測定)ナシのプラン
311,415円
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私は始めよく理解できませんでした。

「教習所の予約って、
その時の自分のスケジュールと教習所の空きスケジュールを見比べて、
結局自分の都合で取ることになるんじゃないの?」

と思いました。と同時に

「教習所って、
だいたい混んでいて、
早く免許を取りたいのにも関わらず、
なかなか予約を取るのも大変で、
顧客泣かせだよなぁ」

そして、

「ん?これって教習所の不便さを利用したアップセルなんじゃないの?」

と思いました。
つまり、不便さを解消して顧客経験価値を高めるといったことではなく、不便さを利用して利益を高めることになっているのではないだろうか、と思ったのである。

ベーシックプランとVIPプランの料金を比較すると、ベーシックプラン は36,750円安い。
そして、「追加料金(技能教習・技能検定・効果測定)ナシ」と書いてある。なおそれぞれ2回目以降は有料である。
追加料金はいくらかというと、18,375円。
つまり、通常、ベーシックプランで取っている追加料金を倍の値段で取れる仕組みなのである。
明確に書いてはなかったが、教習所側としてもお客から倍の値段を取る代わりに、キャンセル料(1,575円)はとらない、ということだろうか。
だが、そうであったとしても、11回キャンセルしてもベーシックプランの方がまだ安い。

いったい、VIPプランは顧客にとっての何のベネフィットがあるのでしょうか。

右脳アプローチのマーケティング

伝統的なマーケティングでは、機能面に力点を置いて差異化を進めてきた。
しかし、コモディティ化が進む市場では機能面で差異化を図っても、長期的にその地位をキープすることは非常に難しい。そこで、快楽面が注目されてきているという。

機能面は定量的に示すことが出来る。いわば左脳へのアプローチである。理論的に検討すればその優れているところは一目瞭然である。
快楽面は定性的に示すことになる。これは右脳へのアプローチである。理論的には表現しづらいし、人によってその評価も分かれるだろう。

ラビンドラ・チチェリー米リーハイ大学助教授らの実験によると、機能面での期待に応えられないと「不満」にとどまらず「怒り」が生じ、一定水準を超える機能であれば「安心や信頼」が生じたという。
快楽面での期待に応えられない場合は「不満」にとどまり「怒り」には至らない。しかし、期待を超えたベネフィットがあると「安心や信頼」よりも「喜び」に結びつく。
そしてこの喜びを得た人はクチコミを誘発され、強い再購買意欲も抱く。

これは、コロンビア大学のトリー・ヒギンス教授の制御焦点理論で説明できる。
人々は不快を回避し快に接近しようとするが、不快回避と快接近とでは異なる目標設定を持つため、その後の感情に違いが生じるという。
不快回避では防衛が、快接近は好ましい状態が目標である。
よって、機能的ベネフィットの達成は「安心や信頼」をもたらし、感情的ベネフィットの達成は「喜びや興奮」をもたらしているのである。
(参考)恩蔵直人, 日本経済新聞2009年2月27日朝刊『「非差異化」時代のマーケティング』「快楽」で差異化 第6回

ビジネスコンテスト優勝!

本日、ビジネスコンテストで見事優勝しました!
何よりも、当社役員の知の集大成、表現技術の結果です。
途中ドタバタとしたところもありましたが、最終的にはこのプロジェクトにコミットし、見事に組織に貢献した成果です。
審査員からはいくつか課題が出されましたが、かなり事業化の見込みが高いとお褒めの言葉もいただき、CEOとしても鼻高々です。CFO、CSO、CTO、CWO、ありがとうございました。

と、いってもこのコンテスト、聴講生として参加している多摩大学大学院の授業の一環。
橋本大也先生の知識イノベーションというクラスでの課題。約2ヶ月近く使って、グループで事業計画を作成し発表したのだ。
課題には制約があって、メンバーとは直接会うことなく、ネットでのコミュニケーションでプランを作成するというもの。忙しい私たちにとってはむしろありがたい条件でした。

また、審査員には、橋本先生の他、起業家であり投資家でもある方(お名前を出してよいのかわからないので)にもお越しいただいて、きちんと審査していただいたのです。

実際、プラン作成中、かなり本気でやりました。ちょうど同じタイミングで、本業のビジネスプランをあるコンテストに提出するために作成していたので、かなりしんどかったのですが、やればやるほど、ビジネスとして本当に「いける」と思い、本当のビジネスとして取り組みました。
私はどんなにがんばっても単位も評価ももらえるわけではないのですが、そんなことはどうでもよく、橋本先生の授業をとってよかったな、楽しかったな、勉強になったな、と思いました。

さて、これからメンバーと話し合い、ビジネスを実際にやってみたいと思いますねぇ。

サービスドミナントロジックとポスト資本主義(4/4)

資本主義とポスト資本主義をあえて比較するとすれば、

・競争 と 共創
・一方行 と 双方向
・占有 と 共有

といったことが言えそうである。
もちろん、企業間の競争を否定するものではない。自然界を見れば、古代からあるわけで、それがエコシステムであるのだから、これからもなくならないし、必要である。
重心の置き方が要であろう。

ここで1つ取り上げたいのが、「占有と共有」である。
資本主義では優れたビジネスモデルを持つ企業は、独占的に多くの顧客を囲い込み、莫大な利益を上げることができる。
ポスト資本主義を考えると、ここに大きなヒントがある。
もう少し言うと、ライバルと顧客や利益さえも共有することである。

具体的な事例は今後どんどん出てくるだろう。
サービスドミナントロジックにポスト資本主義の姿が見え隠れしているのは確かなようだ。

(終わり)