米マイクロソフト 2009年末 株式時価総額ランキング第3位

2009年末の世界株式時価総額ランキング(日本経済新聞 2009年1月12日 朝刊)を見ると、ベスト10はアメリカと中国の企業が占めている。
業種で言えば、エネルギー、IT、銀行の3つである。

つまり、世界の投資マネーは、米中のエネルギー、IT、銀行に集まっていることがわかる。
そこで私にとって少し意外だったのは、マイクロソフトが昨年6位から順位を上げて3位に食い込んでいることだった。
ウィンドウズ7が好調だったにしても、将来性には不透明感がまだ、ある、と思っていたからだ。

だが、冷静に市場を見つめてみると、一般のパソコンのOSはウィンドウズから他へ乗り換える兆しはまだ見られない。
ウィンドウズ7は、不調だったVistaがなかったものとして考えると、XP発売(2001年冬)から約8年ぶりとなる新クライアントOS。
Vistaで失敗している企業は、早々とウィンドウズ7に移行することが予想される。
従業員の多い企業では、すぐに「7」へ移行するとは思えないが、複数種のOSをサポートすることはコスト高につながるため、ハードウェアの寿命を迎える数年後には、一気にXPから「7」への移行が始まるだろう。
また、今は、モバイル端末における競争に投資が集中している。
その点からも、クライアントOSではウィンドウズのライバルが登場する見込みは薄い。

とはいいながらも、マイクロソフトは油断はできない。
Thinクライアント、特にスマートフォンの台頭が気がかりだ。
技術革新により、スマートフォンがウィンドウズ7並の機能を備えた時、ガラリと市場は変わってしまうだろう。

恐らく、スマートフォンを介して会社のパソコンを操作できるようになったときだ。
スマートフォンは、会社のパソコンに接続するためのデバイスであり、データを持ち運ぶ必要が無くないばかりか、オフィスなどのアプリケーションをインストールする必要もない。
技術的にはもうクリアされている。実際、私はモバイルPCをそうして使っている。

ブラックベリーは、メールの確認が容易にできることがウケて急速に普及した。
そのように、入力と出力がもっと容易になれば一気に加速する可能性がある。
具体的には、A4ノートパソコンのキーボード並みの操作性と17インチディスプレイが利用できることである。
これもUSBコネクタを備えることでクリアされるが、キーボードやディスプレイの持ち運びの容易性をどうするか、だ。

こう考えると、新しい形のスマートフォンの登場は遠いことではなさそうだ、とまとめるにはまだ早い。
バッテリーがボトルネックだ。バッテリーは長持ちするようになり、利用環境は随分整ってきてはいるが、バリバリ使って半日は持たせたい。

それが可能になったときに、マイクロソフトが準備できているかどうか、だろう。