「備え」-最悪の事態を想定すること

青森県から静岡県に引っ越し、転校したのは小学6年生の9月1日であった。
真っ先に戸惑ったことは、地震への備えの違いである。
教室に入ると、皆、椅子にサブトンを敷いて座っていた。
すぐ後に気づくことになったのだが、それはザブトンではなく防災ずきんであった。
新学期初日でもある9月1日は防災の日、避難訓練が始まったら、皆、防災ずきんをかぶって校庭に集まった。
何もかぶっていないのは私だけであった。

防災ずきんを常備している学校は静岡県外にどれほどあるだろうか。
私が引っ越した先の長泉町というところは高い建物はほとんどない。学校は山の上にあり、自宅までの間も道幅は広く、上から落ちてくるものはほとんどない。
それに比べたら首都圏は、何も落ちてこない方が不思議なくらい頭上にはたくさんのモノがある。
青森での避難訓練は、校庭に生徒が集まって校長先生がお話しして「ハイ、終わり。教室に戻りましょう」だった。
しかし静岡では違った。地域別にグループになり、そのまま生徒だけで集団で帰宅するまでが防災訓練なのである。
それを知らされていなかった私は慌てて教室にカバンを取りに行ったことを覚えている。

この地域別のグループはさらに10人程度の小グループに分けられている。
このグループは防災訓練のときだけでなく、毎朝一緒に学校に通うグループでもある。
だからイザという時にだれがいて、だれがいないのかがわかるようになっているのである。
緊急時、生徒らは数では圧倒的に少ない先生方をあてにはしていられない。
自分のたちで確認して適切な行動をとらなければならない。
「自分の身は自分で守る」ことが大原則なのである。
今回の地震を経験して改めて考えた。
備えは何もしていなかった。
今からでも遅くはない。備えておこう、と思った。
これはまさにリスクマネジメントである。

リスクマネジメントとは、最悪の事態が起こった時でも自分の身は自分で守れるようにしておくことがポイントであろう。