小山内 裕

組織文化は変えられない

今日のMBAは松浦先生の組織文化論。

シャイン 『組織文化とリーダーシップ』を材料にしてやっている。
私にとってもっとも有益であったことは、
(1) (短期間で)組織文化は変えられない。
(2) 組織文化のクローンは作れない。
ということだ。コッター/ヘスケット 『企業文化が高業績を生む』も読んだが同じ結論だ。

組織文化の形成の1要素として、外部環境に適応があげられる。
当初外部環境にうまく適応し高い業績を上げていたのに、いわゆる大企業病にかかって業績が低迷している企業がある。一方では好業績をあげている同じ業界のベンチャー企業がある。これはよく見られる風景だ。
大企業にとってみればその業界にはビジネスチャンスは十分にあり、多くの資本も人も所有している。ベンチャー企業がやっているやり方、組織文化をまねしたら、簡単に業績を回復できそうなものだ。
しかし、それができない。
文化はスポンジのように変形させても戻ろうとする力が働くという、前の文化の方が居心地がいいからだ。
事例として、文化を変えることは難しく、できたとしても10年はかかるという。だから組織文化はそのままで制度やプロセスを変えて外部環境に対応するしかない。

以前私が勤めていた会社で組織文化の違いから、たくさんの齟齬を経験したことがある。
50人以上の規模の仕事を受注したが、人がいなかった。だから短期間に、たくさんの人を、複数のルート(新卒、中途、3箇所くらいの別の事業所)から集め、同じ職場で働かせた。
皆それぞれ異なる文化を持ち込んでくる。顧客満足のためにどうしたらいいか、この1点でさえ、意見が真っ向から対立してまとまらないのだ。各人は自分の考えが正しいと主張する。
そう、皆正しいのだ。各人の経験的原則は異なるからそこから導き出される答えも異なる。
しかし、決めるべきことを決めなければ次に進めない。それでどうしたか。
それぞれまるでローテーションのように妥協をしていった。前回Aさんは妥協したから今回はAさんの意見を取り入れよう、と。一見すれば大人の解決方法だ。
結果、全体として見たらまとまりのない、矛盾だらけの行動になった。文化に必須の価値観の共有もされなかった。
あの時、皆が組織文化についての理解があればもっと違った結果が出せたかもしれない。

MBAで得る知識は特別なことではない。誰もが真剣に悩み取り組めば必ず辿り着く知識である。けれども知っていればその分短時間で解決に導けるアドバンテージはある。
もちろん、「知っている」と「出来る」は違うから、MBAと会社の往復で「出来る」を増やしていきたい。

プレゼンは戦略をもって

今日はMBAでプレゼンをやりました。
できはまあまあ、65点くらいかな。
テーマは「イノベーション」。

ジョー・ティッド/ジョン・ベサント/キース・パビット (後藤晃/鈴木潤 訳) 『イノベーションの経営学』 NTT出版を読み、自分のコンテクストで理解した内容を発表しました。
私なりに考え、どうせやるなら戦略をもってやろうと考えました。
目標は「クラス内での暗黙知の表出化」、そのための戦略は「具体例の提示をして発想のきっかけを作る」としました。
そして、プレゼンにはエトス・パトス・ロゴス(信用・情熱・論理)を心がけるようにしようと思いました。しかしエトスは用意に得られるものではありません。でも初めてのプレゼンなので、最初の一発でエトスを獲得しなければなりません。そこで、本を読んだ感想をみんなに聞き、「私は本を読んで涙がでました」と真の自分を表現して、丸腰であることを伝えてみることにしました。

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原田先生からいただいた評価は、
・新規性がない。場の重要性がもう少し伝わるとよかった。
・知の編集はできている。
私は本の内容を1枚の絵にすることが得意です。左の図は今回読んだ本のDigest。
・とつとつとした話し方が、リーダーシップを感じる。ぐいぐい引っ張るタイプではなく、新しいタイプだ。
私は立て板に水のように話すことが非常に苦手です。頭の中では流暢に流れても実際に話すとなるとできません。しかし、それがこのような評価を受けたんですね。
ということで、今後はリーダーシップに磨きをかけることがひとつの課題です。

私の反省点は、
・右脳が足りない。もっと自由な発想で何かを出せるといい。
・問題提起を最初にして、課題を与えてからプレゼンするとよかった、かな。

次回はその辺のことに気をつけて少しでも進歩するように心がけよう、そう思いました。

バーニー 『企業戦略論(上)基本編』 ダイヤモンド社

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VRIO Frameworkを使って企業のResourceを評価すると言う内容です。

非常に簡単ですが、要約すると次のようになります。
企業のResourceは次の4種類に分類できる。Financial capital、Physical capital、Human capital、Organizational capital。
それぞれのResourceをVRIO(Value、Rarity、Inimitability、Organization)に基づいて評価する。これにより、StrengthとWeaknessを見つけられる。
ポーターのSCPロジックに基づいたOpportunityとThreatは補完的に利用する。
以上より、Strengthを利用した戦略、Weaknessを補う戦略を立案する。

ポーターとバーニーの違いは、ポーターは外部環境からのアプローチであり、バーニーは企業内部からのアプローチ(RBV: Resource Based View)で戦略を立案するという点だろう。
バーニーは、現在のような変化の激しい環境において、ポーターのSWOTや5つの力による特定の業界内における分析だけでは限界があるといっている。

ここからは私見です。
資本の調達が容易になってきているポスト産業資本主義では、Financial capital、Physical capitalは強みにはしにくいでしょう。そうすると、Human capital、Organizational capitalに強みを見出していかなければなりません。
一方、人材の流動化がますます進み、ナレッジワーカーがより高度になっていくことを考慮すれば、Human capitalをいかに自企業に固定するかが課題となるでしょう。
Organizational capitalはまねできない最強の強みになると思います。
組織文化のクローンは絶対に作れません(by Schein)から、好業績につながる協力な組織文化を形成していくことが今後の最大のテーマになりませんでしょうか。

ポスト産業資本主義、ナレッジワーカー 、組織文化については後日補足したいと思います。

102 – 本の数

102。これはMBAの勉強のために今年読む予定の本の数です。

大学院に行く前は本屋でいちいち自分が必要とする本を探しておりましたが、あふれるほどありながら限られた選択肢から選択することは至難の業です。
本屋には非常にたくさんの本がありますが、私が必要とする本が在庫しているとは限りません。
また、先生方は私よりも本に対する知識を多く持っています。
ですので、自分に必要な本を自分で探すことはせずに、先生方の薦めるものをまずは全て購入することにしました。

4月になってから、先生方の薦める本を70冊くらいは購入しました。
先生方の薦める本を全て買うと決めてはいたものの、当初は少し迷いました。普通に買ったら30万円以上はかかるからです。
ですので、はじめの数冊はいかに安く買うか努力してみましたが、時間ばかりがかかってしまう結果になりました。
本を安く買うよりも時間の方が貴重ですから、いかに短時間で買うかがテーマとなりました。

やはり、Amazonですね。本屋で本を探していたら何日あっても足りないでしょう。
Amazonなら検索できます。しかもusedも売っているので本代もそれなりに抑えられます。
それでもAmazonで検索するのは少し大変でした。70冊買うだけでも10時間くらいはかかったんじゃないでしょうか。
本のタイトルをそのまま入れて検索しても出てこない場合があります。タイトルの一部分だけではあまりにもたくさんの本が出てくる場合もあります。
また、先生からもらったリストのタイトルに多少の違いがあったりして、探すのに苦労しました。

だいたい30冊くらい読みましたが、やはり先生方の薦める本はすごくいいですね。
私が時間をかけて本屋の棚にある中から選んだ本よりも役立ちますね。