経営の「経」はたて糸、ならば、よこ糸は?-リーダーシップの実行-

「経営」は「経を営む」と書くが、「経」とは仏教の教えであるお経とか、筋道とか、織物のたて糸といった意味である。
織物を織るときたて糸は動かない。だからたて糸を通した段階で織物の半分が決まることになる。しかし、言うまでもないが、織物はよこ糸が通らないと完成しない。
言い換えれば、会社の経営とはその活動における筋道をつけることであるが、それだけでは競争の激しい市場でゴーイングコンサーンは達成できない。縦横無尽に移動するよこ糸が必要なのである。ならば、このよこ糸は何であろうか。

藤沢武夫「経営に終わりはない」
私はよこ糸は「リーダーシップ」ではないかと思う。
今の時代、このリーダーシップが強く求められている、と思う。リーダー不在、いても名ばかりの組織は厳しい戦いを強いられることになるだろう。
ちなみに、マネージャー(管理者)とリーダーは違う。マネージャーはあくまで管理する者であり、計画と結果に責任を持つ。リーダーは先導者であり、実行部隊の隊長である。マネージャーが「明日の午前0時に、あの山の頂上に行け」と命じ、リーダーは部下を引き連れ山を登るが、どの道を通るか決め、予期しないできごとに対応する。リーダーにはたくさんの経験が必要だ。並大抵ではできないことである。部下はリーダーに命を預け、自分の仕事を全うする。そして組織は、予定通りに目的を達成するのである。
ブックルックチームはほぼ文鎮型の組織形態となっているが、それでもラインごとにチームが存在する。大きな会社でいえば、部や課である。
ブックルックチームではこのような名で呼んではいないが、開発1部、開発2部、サポート部、インフラ部、WEBマーケティング部、コンサルティング部といった形である。それぞれの組織には2~7名程度のメンバーがおり、それぞれにリーダーがいる。

このリーダーたちがまさにリーダーシップを発揮し、自分のチームや会社を飛び越え、関係する別の部署に協力を要請したり、助けたりしているときは驚くほど物事がスムーズに進む。それぞれのリーダーは、1つの組織、ブックルックチームの勝利のために活躍しているのである。
反対に、リーダーの動きが悪くなると、とたんに仕事の流れも悪くなる。この場合、リーダーがやりがちな失敗は正論や会社の方向性を盾に動こうとしないことである。「こうあるべきだ」「こうやるべきだ」「会社としてこうした方がよい」「これはあちらの仕事だ」「会社の方針が・・・」と。しかしこれは筋道の話であり、経営者の仕事である。よこ糸のリーダーがたてに動き始めているのである。結果、たて糸だけになり、よこ糸がないため、織物は完成しない
リーダーが自分のチーム、開発1部とか開発2部とかサポート部とか、のためだけに仕事をしようとすると、ブックルックチームは必ず敗北へ向かう。
リーダーから「この仕事、誰がやったらいいですかね?情報が何もありません」と聞かれたら「お前がやれ、お前がやるしかない」と私は言う。

そして、「ブックルックチームは実行することに価値を置いている。あいまいな状況でもゴールに向かって動ける能力が求められているんだ。しっかり結果を出せば評価してきたし、これからもそれは変わりない。」と。