価値への固執 - 私の価値は何か?

プロジェクトチームメンバーのAさん。ユーザーからの問い合わせの1次対応をしている。

1次対応とは、ユーザーから見た質問やトラブルに関する受付の窓口であり、回答してくれる人である。
1次対応で解決できないことは、分野ごとにさらに詳しい人に尋ね、得た回答をユーザーに伝えることである。だからユーザーの質問とその回答を理解しなければそれはできない。
さて、そのAさんは何をしているのかというと、ユーザーからの問い合わせ内容をExcelに書き込み、1つ1つ解決したかどうかを確認しているのである。これ自体は問題ない。
問題はその次である。

Aさん: 「この件、ユーザーに回答してくれますか。」と私にいった。

私: 「ん?何の件?」

Aさん: (ユーザーから送られてきたメールの内容を読み上げた。)

私: 「要はどういうことなの?」

Aさん: 「わかりません。メールにはこう書いています。」

私: 「。。。。。」
Aさんは、ただ単に、ユーザーの質問内容も理解せずに、文中にあるキーワードを元に2次対応に転送しているだけなのである。
「Aさんの価値はどこにあるの?自分の仕事の範囲をどこからどこまで規定しているの?」

Aさん: 「問い合わせをExcelに入力して進捗を管理しています。」

その後も観察していると、AさんはExcelに入力した1件1件の問い合わせに対して「Close」(解決済み)と入力することに自らの価値を置いているのである。
価値ある仕事だろうか。自己満足ではないだろうか。

目的は職務のレベルに応じて異なるが、Aさんの場合「ユーザーの疑問・質問・直面している問題を解決すること。自力で解決できない問題は適切な人に聞く。」ことが最低ラインの価値であろう。
それを少し引き上げれば「ユーザーが効果的、効率的にシステムを利用できるようにする」といったことも追加される。また別の立場の人であれば「ユーザーがシステムを利用することで、売上げにつながるヒントを得られるようにする」とか「価値の創造を促進する」、「売上げの成長率を高める」、「粗利の高い商売につなげる」といったことになろう。

この最低ラインは自分が決めることではない。今回の場合、プロジェクトチームのメンバーとユーザーが決める。自分は価値を引き上げる努力をしながら周囲の反応を確認することになる。
自分が出した成果のどこにユーザーが満足したのかを探る必要がある。

そのためには試行錯誤しながら自分自身の価値を明確なものにする努力が必要である。