サバンナとガラパゴス

最近、私は自転車で通勤している。片道約10kmである。
コースは2つあって、サバンナコースとガラパゴスコースだ。

サバンナコースは、大通りを走る。正確には9kmを25分で走る。平均時速22kmである。
多くの車が私の横を走り抜けていく。
バスも走っている。バス停で止まるため、抜いたり抜かれたりするときもあるし、うまく後ろをついていけることもある。バスの 後ろにつくことを他の車は避けるので、走りやすい。
当然トラックも走っている。大きな音を立てながら後ろから迫ってくるので時々怖い。
バイクも走っている。これも乱暴な運転で私の横をかすめていく場合がある。
自転車も走っている。風が強いときは時々後ろについて楽をさせてもらうこともある。
信号が多い。タイミングが悪いと1つおきに赤の場合がある。なので、できるだけ急いで青、青、青で行けるようにする。

このようにサバンナコースでは、私は環境に影響されながら、または利用しながら走っていくのである。
車と一緒に走るので危険を感じる。とても緊張する。
そのためマイペースで走ることは難しく、速度は少し速めである。
ガラパゴスコースは、主に多摩川の土手を走る。正確には10kmを35分で走る。平均時速17kmである。

10081294640_s土手では車もバイクも走っていない。通れるのは、人と自転車、小動物だけだ。
時々やたら速い自転車が私を追い越していくものの、人も自転車もまばらで、マイペースで走れる。
風景もなかなか良い。空を見たり、川の向こう岸を見たりしながら走る。
とてもすがすがしく気持ちが良い。
時々、横を走っている車の列が途絶え、シンとすることがある。虫の音、風の音、そして自分が自転車を漕ぐの音しか聞こえない。
当然緊張することはなく、のんびりとしたものだ。
サバンナは環境の変化が激しく、油断していると命を落とす。そのため、絶え間なく、早く進化・進歩する。その代わりゆっくりとはしていられない。
ガラパゴスは環境の変化、危険が少ない。とてもゆったりとした気分でいられる。今のままでいいので、進化・進歩することはない。
企業もこれらどちらかの環境に身を置いている。ほとんどがサバンナではないだろうか。サバンナを走り続けていると見も心も疲弊してしまう。時にはガラパゴスでのんびりしたいものだ。
サバンナの中でガラパゴスを見つけ出す。ブルオーシャンがそれではないだろうか。ブルーオーシャンは永続しないが、それを作り出した企業は心身ともにリフレッシュし、まもなくやってくるレッドオーシャンの到来に備えられる。レッドオーシャンを乗り切る力があれば、気づいたときにはまたブルーオーシャンに出ているかもしれない。

企業の体力をつけるためにもブルーオーシャンの絶え間ない開発は、永続性を実現する経営の勤めではないだろうか。