自分の中のリミッター

いいものを見つけました。

田坂先生は私が通う大学院の教授です。
田坂先生の講義では遅刻早退欠席は一切認められません。毎週レポート提出があります。3時間の講義中は休憩時間はありませんし、飲食は厳禁です。私は仕事上、毎回遅刻早退欠席しないという約束できないということと、厳しそうだという理由で履修しておりません。
しかし、田坂先生のサイトにある「風の便り」を読みまして、私の思い込みによる認識を改めました。

できない理由は誰でも考えつきます。不可能を可能にすることは誰でもできることではありません。
せっかくすばらしい先生の講義を受けられるチャンスがあるのだから、そのチャンスを利用しない手はないと思いました。
来年は、会社の上司部下に今年のうちからネゴなどして出席できるようにがんばろうと思いました。

さて、「いいもの」です。
私はこれを友人知人仲間に紹介しました。それぞれのコンテクストで読むと、心に入って出てくるものが異なるようです。


田坂広志 風の便り 第183便

頂上をめざす友

若き日に、登山をしていました。

ある夏の日、友人と計画を立て、
ある山の頂をめざし、
互いに別の山道から登ることにしました。

暑い夏の日差しの中、蝉の声を聞きながら、
足場の悪い山道を登り始めると、
まもなく、全身から汗が流れ始めます。

その暑さの中、重い荷物を背負い、
一歩一歩、足を踏みしめながら、
急な山道を登っていきました。

ときおり、荷物を降ろして休み、
汗をぬぐいながら森の彼方を眺めると、
別な山道を登ってくる友人の姿が
心に浮かんできます。

彼も、いま、この厳しい山道を
重い荷物を背負って、登ってくる。

その友人の姿が心に浮かぶと、
また、登り始める力が湧いてくるのでした。

その日の夕方近く、
少し早く山頂に辿り着いた自分が休んでいると、
遠くの稜線に、別の山道を登ってきた友人の姿が、
現れました。

その山頂で、二人で眺めた夕日が、
いまも、心に残っています。

そして、なぜか、
その遠い夏の日の想い出は、
いま、仕事の世界を歩んでいる
友人たちの姿と重なるのです。

若き日に、理想や志を語り合った友人たち。
彼らも、いま、
若き日に見上げた山の頂をめざし、登り続けている。

その数十年の歳月をかけた登山において、
我々の心を支えてくれるのは、
ただ一つの言葉。
いつか、山頂で再会。

(「田坂広志 公式サイト「未来からの風フォーラム」 http://hiroshitasaka.jp/ より)