組織の重さ by 沼上幹

今日は、仕事の後、組織学会の定例会に参加してきた。

「うん、うん」とうなずきながら聞いてきた。こんなことを私が言うのは僭越だが、今度投稿しようと思っている私の研究と(少し)重なるところがあった。
目的は異なるものの、利用できる調査項目はけっこうあった。そして、その結果も私が調べた結果と同じ方向なので、やっぱりこの流れだな、と実感し、少しだけ自信をつけた。

今日の内容は、組織がどれほどストレスなく活動できるかを「重さ」を使って説明したものである。重い組織とは、根回しばかりに時間が取られてしまっているような組織である。私なりに要約すると、これまでの日本の組織は創発が強みであった。しかしながら、その有機的組織ならしめていたプロセスは、時とともに組織を重くすることとなってしまっている。一方で、機械的組織は有機的組織と比較して鈍重のように言われてきたけれども、実は時とともに重さを増す有機的組織を軽くする効果があることがわかった。

私の研究は、知識労働者に焦点を絞ったもので、組織の重さ研究を参照して要約すると次のとおりである。
流動的な環境においては、それまでのように、上司やリーダーが指示・命令・統制をするよりも、1人1人の知識労働者が「相互作用」を繰り返しながら、主体的に行動することが重要である。だからといって、上司が不要なわけではなく、人事評価をすること、パートナーやメンターといった役割を果たすことが重要である。