Management

みんなの前で怒鳴る、大声で叱責する、不満を口にする・・・その前に

ブックルックチームではシステム開発や運用を中心とした仕事を約60人が集まってしていますから、人と人がぶつかり合うことがあります。
時々ですが感情的になって、怒鳴ったり、大声で叱責したり、不満を口にしたり。。。そういう場面に遭遇することがあります。
そして誰もがどうしたらよいのか戸惑い、悩み、または考え込んでしまうようなこともあるでしょう。
そんなとき、どうしたらいいのか、ここで1つの指針を示したいと思います。

感情は人が持つ最大の特徴。仕事においても感情はとても大事な要素でしょう。
まさに喜怒哀楽は人生を豊かにします。

それでは、オフィスの中で感情的に声を荒げるのはどうでしょうか。大声で笑うのはどうでしょうか。
感情的になっていなくても、そう聞こえるような声で相手をまくしたてるのはどうでしょうか。
怒鳴ったり、大きな音をたてたり、物を投げたり・・・
ネガティブな反応は、誰もがやりたくてやっているわけではないし、少なくともその時点では正当性を持っているだろうから、これらのような行動を制限することはできないでしょう。
行き過ぎは他人を害するのでそれはダメですが、少々のことなら咎めるべきかも悩みます。
良いのか、悪いのか。許されるのか、許されないのか。言った人ではなく、言われた人が責められるべきなのか。見て見ぬふりをするか。

ここで2つのキーワードを考えたい。

Respect と Kindness。

Respect:
「尊敬する」「尊重する」という意味だが、もっとよく調べてみて欲しい。
人や物を賞賛する、大切にする、傷つけない、十分に配慮する、慎重に扱うといった意味である。

考え方や、感じ方、正義は人により異なります。
だから、自分が正しいという思いで一方的に接するのではなく、自分の言動で人を傷つけたりしないか、確認しながら、気を使って接することが「Respect」です。

Kindness:
「親切さ」だが、書籍『Wonder』に出てくるブラウン先生の言葉とともに考えたい。
「正しいことをするか、親切なことをするか、どちらかを選ぶときには、親切を選べ」

相手の失敗を追及し責めるのではなく、一緒に仕事が前に進むように仕向けるのです。
どんなに相手が悪いと思っても、です。

余談ですが、「Wonder」は子どもたちに就寝前に読み聞かせた本です。
頭が良くて、勉強ができて、要領よく振舞えたらそれが一番か、といえばそうではありません。
「Kindness」がわかる人間になって欲しいという願いで読み聞かせました。

それだけこの本は私に強い感銘を与えた本なのです。
人間関係で悩むときにこの「親切さ」を思い出しては、自分がどうすべきか考える指針にしています。

10年ぶりに行ったUSJで実感、プロセス・イノベーション

USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)について話す前に、イノベーションについての理解を確認したい。

イノベーションには、プロダクト・イノベーションと、プロセス・イノベーションの2つがある。
前者は組織が提供する製品やサービス自体の変化であり、後者は組織が提供する製品やサービスが創造され利用者のもとへ届けられる方法の変化である。

分かり易い例を出すと、プロダクト・イノベーションは、
・小型でパソコン並みの性能を備えたインターネット デバイス AppleのiPhone
・歩きながらステレオ音質の音楽を聴けるミュージックプレーヤー SonyのWalkman

プロセス・イノベーションの例は
・必要な時に必要な量の部品を発注することで在庫リスクを小さくするトヨタのカンバン方式
・顧客全員にオーダーメイド パソコンを短期間で販売した デル のダイレクト・モデル

これらイノベーションのサクセスストーリーは華やかであるが、実際にはイノベーションを起こさせることはほとんどマネージ不可能であると言われている。つまり、やろうと思ってできるものではない。

それでも競争優位を確保するためであったり、戦略上のポジションを防衛するためには圧倒的な「競合との差異」が必要である。自分の会社がやらなければ、競合企業がやる。だから先にイノベーションを起こさなければならない。

飛躍的なイノベーションこそやろうと思ってできるものではない。だからといって何もしないことは終わりを意味する。
そこで、漸進主義的なイノベーションに期待したい。

漸進主義とは、創発的にトライ・アンド・エラーを繰り返すことである。またすべてをマネジメントの決定に依存せずに、ケース・バイ・ケースで効果的な対処を目指しながら、組織の中で発生する暗黙知を形式化していくことである。
漸進主義とは、つまりイノベーションそのものなのである。

前振りが長くなってしまったが、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に行って、そこで働くクルーたちが10年間かけて実行してきたプロセス・イノベーションを実感したのである。
私はUSJに何の期待もせずに行ったのであるが、その変化に何度も自分の目を疑った。けれども、何度確認してもすっかり生れ変わったUSJしかそこにはないのである。

私が初めてUSJに行った頃の話し。
2009年ごろで、日本でオープンしてから8年が経過したころだった。
みな我先に入場し、アトラクションに並び、園内を走り回っているのを多く見掛けた。
雰囲気は騒々しく「まったく差別化されていないただの遊園地」で素直に楽しめなかった。
東京ディズニーランドにある「空気」と同じものが楽しめるだろうと勝手に想像して行ったので、そのギャップの大きさにがっかりしたのである。

そういうこともあり、2回目である今回は、特に期待せずに行った。
我先にと無理無理前に列に入ってくる他の来園者のお陰で嫌な思いをする覚悟はできていた。

まったく違った。
すぐに気づいたことは、あんなに無節操だった来園者たちは、USJの意図によりマナーが飛躍的に向上していた。
世界的にもマナーが悪いと言われる中国の方々でさえも、いい意味でその存在に気づかないほどに紳士淑女的だった。
USJのクルーが「並んでください」とか「ゆっくり歩いてください」などとは注意はしていない。作り上げられたパーク内の施設や空気、クルーのさまざまな配慮が、世界じゅうからやってきた人たちを1つのマナーに従わせているのである。

来園者は見事な建築物、ディスプレイに何かを発見することや、笑顔で手を振るクルーに応えたりすることでも十分楽しめるから、アトラクションに乗ることに命をかけなくなったのであろう。

ウォーターワールドは前回も観覧した。記憶に残るほどの感動はなかった。何が大きく違うのかはっきりとはわからないが、今回は特に水上バイクのアクションに目を見張った。
恐らく、来園者の反応を見ながら少しずつ演出を変化させてきたのであろう。

臨場感ある映像と乗り物を同期させたスパイダー・マンやハリー・ポッターなどはまさにプロダクト・イノベーション。
だが、それと同等のプロセス・イノベーションが伴って、来園者の満足度がさらに高まる。

入園料は税込8,900円で、ディズニーランドのそれを大きく上回る。それでも集客できているのだから相当な実力を持っているといえる。
きっとできることから少しずつ工夫して変えていったことで、これほどの顧客体験を提供できるまでになったのであろう。

ブックルックチームも同じだ。今日の変化が10年後の大きな競争力を生む。
時間軸を縮めてみれば、飛躍的な変化、イノベーションを遂げているはずだ。

参考文献:
ジョー・ティッド/ジョン・ベサント/キース・パビット (後藤晃/鈴木潤 訳) (2004) 『イノベーションの経営学』 NTT出版
野中郁次郎/紺野登 (1999) 『知識経営のすすめ』 ちくま新書
吹野博志 (2005) 『ダイレクト・モデル経営』 かんき出版

残業は非推奨。残業し過ぎると評価が下がります

ブックルックチームは受託開発が中心の会社で、社員のほとんどがエンジニアです。このようなビジネスモデルだと、クライアントの要望に応えるのに精いっぱいで、常に押し気味の開発進行で毎日長時間の残業、というイメージが浮かぶかもしれませんが、当社は違います。

技術力を背景に、付加価値の高い案件を受託し、精度の高い開発進行をしていますので、残業時間は平均で月30時間未満です。1か月は約20営業日なので、残業30時間であれば、毎日1時間ちょっとの残業ということになります。

残業代は、みなしで40時間付いていますので、残業は減らせば減らすほど良い、ということになります。

会社としてもそのような働き方を推奨しています。できるだけ残業はしないで、忙しい時期でも40時間以内に収める努力が求められます。効率よく働くよう努力したにも関わらず40時間を超えてしまった、というなら仕方がありません。が、流されるままに長時間労働した場合は、良い評価は得られません。

40時間を超えてしまった場合、もちろん残業代は付きます。それよりは長時間労働せず、効率的に働く工夫を続け、基本給を上げる働きを推奨しています。

長時間労働は、生産性を落とし、クリエイティブな発想の機会を減らします。さっさと仕事し、プライベートな時間も大事にすることがよい仕事につながると考えます。

ITの宿命と、そのために必要なオーナーシップ

ブックルックチーム本社からの景色。遠くに多摩丘陵、新宿や六本木の高層ビルが見える。ワークライフバランスを保ち、クリエイティブな仕事をするにはうってつけ。

ブックルックチーム本社からの景色。遠くに多摩丘陵、新宿や六本木の高層ビルが見える。ワークライフバランスを保ち、クリエイティブな仕事をするにはうってつけ。


ITには持って生まれた宿命があります。それは、イノベーションや革命やパラダイムの転換など、何らかの変化を引き起こすことです。

「ITを活用したい」というとき、必ずその背後には、これまでと違う何かの存在が期待されます。
これまでと同じやり方、同じ人員、同じ利益を求めてITの導入をする個人や組織はありません。何か1つ、例えば人員の削減だけを期待することもありません。
期待は膨らみ、増える傾向にあるのではないでしょうか。人員を削減するだけでなく、新たなカスタマー経験を提供し、市場シェアを拡大し、今までの何倍もの利益を獲得することが期待されます。
だからこそ、投資をし、慣れたやり方を変え、生みの苦しみにも耐えようというのです。

しかしながら、ITの導入を進めようとすると現場では、受け入れられる変化に違いがあります。
特に成熟期にあるビジネスにおいては、収穫期にあるわけで「今までのやり方を変える=運営コストを増やす」ことになるので、なかなか受け入れがたい。ITの話が出た背景には「この踊り場を脱し、次の成長へ向かいたい」という意図があったはずです。つまり、ITには変化を引き起こすことが期待されていたにも関わらず、実行するにつれ歓迎されないということが見えてくるのです。
では、ITは宿命を果たすためにどうすべきでしょうか。
会社のトップと現場の橋渡しをしながら、何をどうしたらよいのか一緒に考え、汗を流すことだと私は考えます。

例えば、まだ世の中に広く普及していないですが、これまでの問題の多くを解決する新しい決済システムをECサイトに導入したいとします。
システムの仕様はビジネスのオペレーションに則って作ればよいですが、新しい決済手段をECサイトにやってくるお客様が選択したくなるようにしなければなりません。
言い換えれば、新しい決済手段を選択したお客様が得をするようにしなければなりません。当然、その周知も必要です。
プロモーションや新しい決済の提供方法などマーケティングの視点で考える必要があります。
これは、ブックルックチームの行動方針であるESOTの「Ownership」です。

ITの宿命である変化を引き起こすためには、ただ求められたシステムを開発するだけではなく、自分事として、オーナーシップを持って、何をどうするのが最善か、ともに考えることが、時に必要なのです。